よくあるご質問 FAQ

『胃が痛い』のですが、どうすれば良いですか?

『胃が痛い』というとき、患者さんは大体みぞおち辺りを押さえています。
この部位の痛みを『心窩部痛』といいます。原因としては、胃・十二指腸(炎症・潰瘍・癌など)、胆嚢(胆嚢結石症・胆嚢炎・癌など)、膵臓(膵炎・癌など)、急性虫垂炎(初期)、大腸(腸炎,憩室炎など)の病気と、多岐にわたります。

基本的な検査としては、①腹部所見、身体所見(発熱・貧血の有無) ②X線検査(妊娠の可能性ある方は禁忌) ③腹部超音波検査(妊娠の可能性ある方も可能) ④腹部CT検査(妊娠の可能性ある方は禁忌)⑤上部消化管内視鏡検査(胃カメラ) などを組み合わせて総合的に診断する必要があります。便が黒い(タール便)・吐物に血が混じる方は、早急に上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)を受ける必要があります。

『胃が痛い』と言っていて、胆嚢結石症や急性虫垂炎であることはしばしば経験されることです。

毎年バリウムを飲んでいるから胃癌は大丈夫ですよね?

早期の胃癌には、バリウム検査で所見を呈さないような病変もあります。
また、早期の胃癌の中には内視鏡的切除により治癒する病変もあります。
当院では、上部消化管内視鏡検査を積極的におすすめします。また、『苦しい』『オエッ』となる方には鎮静薬の投与を行っておりますので、遠慮せず申し出てください。

ヘリコバクターピロリって何ですか?

胃潰瘍のかなりの部分(70%位)はヘリコバクターピロリ菌(以下、ピロリ菌)の感染によって生じる慢性胃炎を背景に発症します。ピロリ菌の毒素やアンモニアなどによって胃粘膜が傷害を受け、その結果胃潰瘍が発生します。このような炎症が長期間にわたって持続すると胃粘膜に変化が生じ、慢性萎縮性胃炎といった変化を示し、このような胃粘膜から胃癌が発生しやすいことが最近明らかにされました。このため、ピロリ菌による消化性潰瘍では、ピロリ菌の除菌治療を実施します。

また、胃癌の予防につながるとの観点から、ピロリ菌の感染による慢性胃炎に対しても除菌治療が保険適用とされました。

排便時に出血がありましたが、大腸癌でしょうか?

出血の症状だけでは、癌か他の病気かはわかりません。 出血の原因としては、①大腸癌・ポリープ ②憩室症 ③虚血性腸炎 ④痔核 など多岐にわたります。まずは、外来受診し、肛門の診察を受け、さらに下部消化管内視鏡検査(大腸カメラ)を受けてください。その他にも、下痢・便秘・便が細い方などは、下部消化管内視鏡検査をお勧めします。

胆石症ってどんな病気?

胆石症には、①胆嚢内に結石が出来る胆嚢結石症 ②胆管内(肝臓と十二指腸の間の管)に結石が出来る胆管結石症 があります。共に、無症状で経過される方もいらっしゃいますが(silent stone)、腹痛(胆嚢結石症は激痛のことがあります)・悪心・嘔吐の原因となります。また、炎症を併発すると、発熱・悪寒といった敗血症を発症する方もいらっしゃいます。急性胆嚢炎や急性胆管炎は生命にかかわる危険な状態を引き起こす可能性がありますので、緊急に治療をする必要があります。

診断は腹部超音波検査が有効で、その他血液検査・CT検査・MRI検査などで総合的に評価します。胆嚢結石症で症状がある方は、手術の適応(腹腔鏡下胆嚢摘出術が標準術式)と判断します。胆管結石症は黄疸・胆管炎の原因となりますので、治療(内視鏡的治療が中心)の適応と判断します。検診などで胆石症と診断された方は、是非消化器専門外来を受診してください。

アルコールを飲み続けるとどうなりますか?

アルコールは多飲すると、初期には脂肪肝の状態になります。
日本酒換算で1日5合を毎日飲み続けると、10年後には約2割、15年後には約半数の人が肝硬変になるといわれています。大量飲酒の継続は肝臓に負担をかけることになるのです。

肝臓は『沈黙の臓器』といわれるように、病気の初期には自覚症状はほとんどありませんので、身に覚えのある方は是非検査をしてください。血液検査や腹部超音波検査などで肝臓の状態を評価することが出来ます。全身倦怠感・腹水・黄疸等が出現した時点では肝硬変が進行している場合が考えられます。肝硬変まで進行すると、禁酒をしても肝臓をもとの状態に治すことは出来ませんので、日頃からお酒がお好きな方も、1日1〜2合程度までにして、週に2日の休肝日をもうけましょう。また、大量飲酒が原因で、急性膵炎・慢性膵炎といった難治性の病気になることもありますので飲酒の機会の多い方は、定期的に検査を受けるよう心掛けましょう。

急性膵炎/慢性膵炎って、どんな病気?

急性膵炎は膵臓の急性炎症性疾患で、その成因は①アルコール(30%) ②胆石(24%) ③特発性(23%)があります。上腹部に急性腹痛発作と圧痛を認め、血液検査・腹部超音波検査・CT検査などで診断します。その約10〜20%程度の症例は重症化し、重症急性膵炎の致死率は20〜30%と高く、血液透析などのできる高次医療施設での集中治療が必要となります。

慢性膵炎は、膵に不規則な線維化などの慢性変化を生じ、膵内分泌(インスリンなど)の低下を伴う疾患であり、多くは非可逆的であります。成因は半数以上でアルコールとの関連が指摘されており、胆石性(8%)、特発性(35%)です。症状としては慢性的な難治性の疼痛の原因となり、アルコール性慢性膵炎では禁酒が最も重要な治療となります(禁酒しなければほとんどの治療が無効!)。糖尿病を併発するため、『万病の元』となります.

腹痛・下痢・便秘が持続します。悪い病気でもあるのでは?

腹痛・下痢・便秘で悩まれている方は非常に多くいらっしゃると思います。
若年者から高齢者まで、最初にしなくてはいけないことが器質的疾患の検索です。やはり症状が数週間〜数ヶ月と持続する場合は,是非検査を受けてください。若年者の方でも、クローン病・潰瘍性大腸炎などといった非特異的炎症性疾患がありますし、また、近年は若年者の大腸癌症例も増加傾向にあります。

大腸の検査としては、下部消化管内視鏡検査(大腸カメラ)とバリウム注腸検査(最近はCTを利用した注腸検査も実施可能な施設が増えてきました)があります。ただし注腸検査は腸のカゲをみる検査ですので、ほとんどの疾患が大腸の粘膜を中心とした病態であることを考えると、大腸カメラをお勧めします。器質的疾患が発見された場合は、その疾患に対する治療をしていきましょう。

それ以外の方は、お薬でのコントロールが必要になります。便秘症の方は、運動療法・食事療法に加え、下剤を中心とした便通コントロールが必要です。下痢症の方は、やはり食事療法に加え、脱水にならないような水分補給、止痢剤の投与が必要なこともあります。下痢と便秘を繰り返し、腹部症状が持続する『過敏性腸症候群』といった疾患には最近新薬も開発され、良好なコントロールが得られる症例も増加していますので、是非、専門外来を受診ください。

消化器内科センター

東京都府中市住吉町5-21-1 府中恵仁会病院内

消化器内科センター